
FCオーナー・武藤行徳が語る“下支えする経営”
入社4か月で店長、そこから2年でFCオーナーへ——。
WizのFC制度を活用し、自身の会社「Givbliss」を立ち上げた武藤行徳さんに、店長からオーナーへ踏み出した理由と、“人を下支えする経営”について聞いた。
吉祥寺で『1日1人の入客』から始まった、再チャレンジ
Wizに入る前、武藤さんは東京・吉祥寺のサロンで働いていた。
「柏で7年働いた後、東京に挑戦しに行ったんですが、1日1人しかお客様がつかない日もありました。プレイヤーとしても悩んでいて、とても独立なんて考えられなかったですね。」
その頃の環境と比べると、Wizの集客力は「段違い」だったという。
「“入客できるチャンスがある”というのは大きかったです。結婚もあり、収入面も環境も整えたいと思ってWizに入社しました。」
家族が食卓で笑っている姿を見るたび、「あの時の判断は間違ってなかった」と実感するという。

店長は目指していなかった。それでも踏み出した新しいキャリア
「実は、店長というキャリアを強く望んでいたわけではないんです。でもWizに入社して声をかけてもらい、挑戦しました。」
店長として約2年間経験を積むうち、武藤さんの中に「もっと深く関わりたい」という思いが芽生えた。
「売上や数字だけでなく、技術やサービス、待遇改善まで責任を持ちたいと感じるようになりました。そんな時に社長からFCオーナーの話をいただき、『すぐチャレンジしたいです』と返事しました。」
店長からオーナーへ。スタッフに最初に伝えたこと
「店長」から「オーナー」へ。肩書の変化は大きいが、その意味はスタッフに伝わりにくい。だからこそ、武藤さんは最初の説明を丁寧に行った。
「自分のためではなく、“スタッフとお店にどんなメリットがあるか”を1番に伝えました。代表になることで、現場の意見を待遇や教育に反映しやすくなる、と。」
さらに、
「店舗の良い部分をもっと伸ばし、技術や接客を深く話し合える関係をつくりたい」
という思いも伝えたという。
「だから、ついてきてほしい、協力してほしいと率直に話しました。」
不安よりも『この環境ならいける』という確信
独立には不安がつきもの。しかし武藤さんは「プレッシャーはほとんどなかった」と語る。
「Wizという大きなグループのFCとして運営できる安心感が大きかったです。本部のサポートも厚く、売上や利益構造も学ばせてもらっていましたし、“自分で決めたことだから逃げずにやり切る”と腹をくくっていました。」
売上もスタッフも整った状態で独立できる――これはFCオーナー制度の大きなメリットだという。
いちばん変わったのは『スタッフとの向き合い方』
「店長時代と今で、最も変わったのはスタッフとの向き合い方です。」
以前は、課題が出ると指示ばかり出す“指示出し人間”だったと振り返る。
「冗談で“ロボットみたい”と言われたこともありました。不満や意見をもらっても『会社に相談してみるね』と他責寄りで、自分事として受け止められていなかったと思います。」
しかしオーナーになり、自分のスタンスは大きく変わった。
「スタッフの声を“自分への意見”として受け止め、問題があれば必ず自分が介入し、解決まで寄り添うようになりました。」

『今日あの子と一言も話してない』が、いちばんの後悔
コミュニケーションに苦手意識があり、考えを自分の中で完結させてしまうタイプだったという武藤さん。
「店長の頃は『今日あの子と一言も話してないな』という日が普通にありました。話しやすい・話しづらいで線を引き、“あの子は話さないタイプだからいいかな”と相手のせいにしてしまう弱さもありました。」
その結果、
「ここで働いても未来が見えない」と感じたスタッフの退職につながったり、
「こうしてほしかったのに」というすれ違いが起きたりした。
「人を変えるのは難しい。だからまずは自分が変わる。変わった自分を見てもらい、信頼の土台をつくることが大事だと学びました。」
今では、すれ違った時に一言声をかけたり、パーソナルな話題で距離を縮めたり、「話しかけやすい空気」を意識してつくっている。
『美容師一人ひとりのケア』が、自分のいまの仕事
武藤さんには強く根付いている考え方がある。
「レストランなら料理が“商品”ですよね。美容室で言えば、美容師一人ひとりが商品だと思っています。」
スタッフが疲れていたり、技術・メンタルが不安定な状態では、お客様に価値を届けることはできない。
「だからこそ、スタッフの状態に磨きをかけることが一番の仕事です。気持ちが落ちていないか、技術に不安がないか。いち早く気づいてケアするのが、オーナーの役割だと感じています。」
『Givbliss』が目指すサロン像
独立と同時に、会社「Givbliss」を立ち上げた。
「『与える(Give)』と『至福の時(bliss)』を合わせて“Givbliss”と名付けました。“お客様とスタッフに至福の時間を与える会社でありたい”という想いを込めています。」
お客様には“心地よく過ごせる時間”を、
スタッフには“自分らしく働ける環境”を。
「グループのルールは大事ですが、自分のお店を持つ意味は、スタッフの“らしさ”や魅力を活かしたサロンづくりができることだと思っています。」

独立を考える美容師さんへ
「まずは、目の前のお客様に120%で向き合うこと。サロンワークでもスタッフ指導でも、“何がベストか”を考え抜けることが大事だと思います。」
また、経営に必要なのは“真剣さ”と同時に“少しの楽観さ”。
「真剣に考えるべきところはしっかり考える。でも心にゆとりを持つことも必要です。経営の知識はSNSでも学べるので、興味のあるところから始めてください。」
そして独立には、2つのスタイルがあるという。
「社長って、いい意味でも悪い意味でも孤独です。だからこそ、人に囲まれて経営するFCオーナー制度なのか、一人で背負う独立なのか。自分に合うスタイルをよく考えて選んでほしい。」
スタッフが輝けるように下支えすること。
その先に、お客様の笑顔と家族の幸せがつながっている——。
武藤さんの「スタッフが1番」という言葉には、そんな覚悟がこめられている。
